掲載日: 2011年4月30日 1:27
三度目の正直。 撮影は2007年1月31日。 前回撮影分の反省点を基に試みています。 検討した結果、構図は月光跡を入れて完成させる方向で決定。 問題は月の軌道(光跡)のポジショニング(位置決め)です。構図では右側に富士山、左側に月の軌道になるのですが両者を構図上のどのあたり配置すればバランスが取れるかを考えます。 月の軌道は年間を通じて日々変わります。シリーズでは月の光源を頼りに撮影していますので撮影実施日は満月前後が理想なのですが、軌道を考慮しますと必ずしもその通りには行きません。また構図上理想の軌道があったとしても実際はその上に当日の気象状況が加わってきます。
2007年1月31日撮影
この撮影では前回よりも軌道を富士山より(右より)にしています。同時に気にかけていたのは大鳥居への光量不足です。あまりにも光量不足になりがちでしたので今回はライトアップされている時間帯に撮影を始められる様にスケジュールを組んだのでした。
その結果ですが、 月軌道は前回と今回の中間ぐらいに通過すると全体のバランスが整うことが判明。微妙なところですが私の目には光跡が少し富士山に近すぎると。 大鳥居はやはり自然光(月明かり)でなんとかならないかと。 この日を含め撮影は何回か試みられたのですが猫の目の様に変わる現地の天候にほんろうされ次回の撮影機会に持ち越しとなっていったのでした。 道のりは長いものです。 つづく
古家 万
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掲載日: 2011年4月27日 0:15
作品の解説と裏話をしていますこのブログ、"Small but Big difference"と題しました。意味は直訳すると”小さくても大きな違い”です。もう少し言葉を足しますと”些細なことだけれどそれは(後で)大きな違いを生む"現象を言っています。普段の生活で全てこの通りにしますと大変なことになりますが、職業を遂行する時にはいつも念頭に置いています。
2006年12月6日撮影
これは前回の翌日12月6日撮影のもの。月の光跡を入れて撮影したバージョンです。 状況を解説しますと露光中、富士山方面に雲が発生。その為に山の像はぼやけています。現場の芦ノ湖には多少の霧が発生。その水滴がレンズに付着し凍り付きました。その為に月の光跡はスパークした仕上がりとなっています。湖面には光跡が反射していますが大鳥居への光量はまだ足りなく浮かび上がってきません。
理想を言いますと撮影は常に長時間の露光をしますので基本的にその間の気象条件があまり変わらないことなのです。振り返りますとその点では現場はかなり難易度が高い場所の一つです。 12月の撮影分は月光跡のありとなしの構図の確認と現場の状況確認が主になったのでした。 このシリーズは天体観測並みに精密に記録し残して行くことが目的ですので8x10(エイトバイテン)というサイズの大型フィルムカメラを使用しています。ある点では不便ですがそれを上回る仕上がりも期待できるシロモノなのです。 つづく
古家 万
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掲載日: 2011年4月24日 1:27
作品にまつわる裏話と見所の紹介が始まります。 前回取り上げましたno. 022807 Mt. Fuji, A Totii, and A Moon Trail, 2007について何回かに分けて書いて行こうと思います。
ロケーションは有名な元箱根の芦ノ湖畔からの眺めです。はじめは2006年の秋頃にロケハンに訪れました。当時は帰国してからまだ1年半。恥ずかしながら現職のプロになるまで日本の景色をほとんど見る機会がなくて当時はとにかく日本らしい風景(特に海外の目で見た)プラス撮影に通える範囲で場所を探していたことを思い出します。誰もが知っていて、日本らしくて、近場でという訳で日本シリーズ制作の幕開けとなっていったのでした。
2006年12月2日撮影
これはこのロケーションでの初回撮影のものです。 今の作品と違い月の光跡がありません。月の光量は全体を昼間の様に仕上げていますが大鳥居部分の月光量が不足で背景とのセパレーション(分離)が良くありません。湖面の様子も普通ですね。一見昼間?ですね。 これを基に試みを繰り返していくと最終的に今の作品となっていくのですが…。 つづく
引き続きありがとうございます。 先週のカタログ本ご注文の分は週明け前半にはお手元に届くと思われます。 今後ともよろしくお願い申し上げます。
古家 万
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掲載日: 2011年4月20日 23:05
ありがとうございます。 ウェブサイトをはじめて何から手を付けて良いのか分かりませんが 作品にまつわる裏話でもして行けたらと思っています。
まず次回からカタログにも掲載されている no. 022807, Mt. Fuji, A Torii, and A Moon Trail, 2007 から始めたいと思います。 ちなみに各作品タイトル冒頭につく6桁のno.++++++は撮影日を表しています。 この作品は2007年2月28日撮影となります。
no. 022807, Mt Fuji, A Torii, and A Moon Trail, 2007
自分の中ではこのナンバーを付けることによって各作品は二度と有り得ないイベントでありモーメント(時間)であると意識しています。またこれを手掛かりに天文台資料等から当日の状況を把握できリアルなモーメントとして残して行くことができるようにもしています。次回をお楽しみに。
ところで余震の状況は注意したいですね。 場所によっては避難場所等をシュミレーションしておくようにしています。
古家 万
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掲載日: 2011年4月19日 1:34
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